毎日お客様を施術していると、足首に関する不調が意外に多いことに気づきます。
特に、足首の前側や横側に痛みを感じている場合。
それと、足首がガチガチに固まってしまって、その他のところに大きく影響を与えてしまっている場合です。
今回は、足首が硬くなってしまっている場合と、足首に痛みが出てしまっている場合について、それぞれどんなことが原因になっているのか、ということについて、お話ししていきます。
足首の硬さの原因
現代人は、足首が硬い人がとても多いです。
そのなかでも特に腰痛の人は足首がガチガチに固まってしまっていることが多いです。
足首は体の土台ですので、足首が硬くなってしまうと、全身に影響を及ぼしてしまいます。
ここでは、足首が硬くなることでどんな悪影響を及ぼしてしまうのか、足首が硬くなってしまう原因として、どんなものがあるのか、についてお話ししていきたいと思います。
足首が硬いとどうなるか
体の関節はそれぞれが独立して動くのではなく、連動して動いています。
足首もそのひとつです。
例えば、歩いているときですが、足首や膝、股関節、骨盤、背骨等が連動して動いています。
そうすることで、地面からくる衝撃を吸収したり、体のバランスをとったりして、体に負担がかからないようになっているわけです。
でもこのときに、足首が硬くなって、動きにくくなっていると、体の他の部分にその負担がかかってしまいます。
不自然な股関節の動きになってしまったり、バランスを取るために骨盤が変な傾き方をしてしまったり、、
体のゆがみにもつながりますし、無駄な筋肉の疲労にもつながります。
また、脚の代謝が悪くなりますので、むくみや冷え性にもなりやすくなります。
そして、足首が硬くなっていると、足首がゆがんだ状態で固定されてしまいます。
女性に特に多いのが、内反足といって、足の裏が内側を向いている人です。
こういう人は、足首を捻挫しやすいですし、O脚にもなりやすいです。
足首がゆがんでいると、いくら骨盤や背骨などを矯正してまっすぐにしても、体の土台である足首がゆがんでいるせいで、またすぐに体全体がゆがんできてしまいます。
また、骨盤や背骨などに元々問題がない場合でも、足首が硬かったり、ゆがんだりしていると、背骨や骨盤、膝など、いろいろな部分がゆがんできてしまいます。
このように、足首は全身のバランスにとって、とても重要です。
足首は、建物に例えると、基礎、土台の部分です。
土台がゆがんでしまうと、建物全体に影響を及ぼしてしまうのです。
ふくらはぎのポンプ作用
次に、足首の硬さが与える影響について、ふくらはぎのポンプ作用についてお話しします。
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれているのをご存知でしょうか?
ふくらはぎの筋肉は、血液の循環に大きな役割を持っています。
血液は心臓のポンプ作用によって、全身へと送り出されます。
そして、全身を巡った血液(体液)は、静脈へと吸収され、心臓へと帰っていきます。
しかし、体の上方向から下に向かって血液が流れているときはいいのですが、脚から上方向に向かって血液が流れていくときは、重力に逆らって血液が流れることになります。
このときに、脚の血液を上方向へと送り返すのが、ふくらはぎのポンプ作用です。
実際にどういう働きをするかというと、ふくらはぎの筋肉が収縮(筋肉に力を入れると、筋肉がモコっと膨らみますよね。あの状態です)することによって、周囲の血管を圧迫します。
そして、筋肉が弛緩すると、血管の圧迫がなくなります。
この繰り返しによって、血液が流れていきます。
「でも、血管を圧迫したときに送り出された血液が、圧迫をやめたときに戻ってくるんじゃないの?」
そこがうまくできていて、血管の中に弁があるために、血液が逆流しないようになっているのです。
(ちなみに、この弁がうまく働かなくなってしまった状態が、静脈瘤というやつです。)
こうやって、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、血液が流れます。
そのため、ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれているのです。
脚の血流が悪くなるとどうなるか
ふくらはぎのポンプ作用が弱くなっていると、上から流れてきた血液や体液が、脚に溜まっていってしまいます。
これがいわゆる「むくみ」というやつです。
そして、脚が重だるく感じるようになります。
また、脚の血流が悪くなりますので、脚が冷えやすくなり、冷え性の原因にもなります。
さらには、脚の血流が悪くなることで、全身の血流も悪くなってしまいます。
足首の硬さが及ぼす血流への悪影響
ふくらはぎの筋肉がしっかり働くことが、血液の循環のために必要だ、ということがお分かりいただけたと思います。
ではこのふくらはぎの筋肉を動かすにはどうしたらいいのでしょうか?
それが足首です。
足首を動かすことによって、ふくらはぎの筋肉が使われるのです。
ふくらはぎを軽くつまんで、足首を動かしてみれば、ふくらはぎの筋肉が、伸びたり縮んだりするのがよくわかると思います。
では、日常生活で足首を動かすときはいつでしょうか?
そうです。
歩いているときです。
歩くことによって、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返し、血液が流れるのです。
ですから、よく歩く、ということは、こういった面からもとても重要だということがお分かりだと思います。
しかし、足首が硬くなっていると、足首の動きが悪くなるため、ふくらはぎの筋肉があまり使われなくなります。
すると、ふくらはぎのポンプ作用が弱くなり、血液の流れが悪くなってしまうのです。
脚のむくみや、冷え性でお困りの方は、足首を柔らかくすること、よく歩くこと、がとても大事です。
足首が硬くなる原因
歩くことが少ない
足首が硬くなってしまう原因として一番に思い浮かぶのは、やはり歩くことが少ないことです。
歩きすぎると疲労して硬くなってしまいますが、やはり適度な運動はとても大事です。
よく歩くことによって、足首を適度に動かすことで、柔らかさを保つことができます。
舗装された道路
現代人、特に都会に住んでいる人は、足首が硬くなりやすい傾向にあります。
足にはたくさんの小さな骨が集まっています。
なぜそんなふうになっているかというと、地面からの衝撃を吸収するため、そして、地面の起伏に対応するためです。
起伏に富んだ地面を歩くことによって、足首は細かくいろいろな方向へ動きます。
しかし、きれいに舗装された真っ平らな道路では、前後左右の足首の細かい動きがなくなってしまい、その結果、足首が硬くなってしまうのです。
現代はほとんどのところが舗装されています。
特に都会では、土の地面を探すのが難しいぐらいです。
そういったところでは、どうしても足首は硬くなりやすくなってしまいます。
また、舗装された道路や石畳など、固い地面は足首に負担をかけやすいです。
靴で足首を固定してしまう
通常の靴であれば問題ないのですが、いわゆるブーツなどのように、足首を覆ってしまうような靴もよくありません。
足首を傷めないように、機能としてわざと足首が動きにくくなっているブーツは別ですが、特に理由もなく、おしゃれで履いているブーツは足首の動きを制限してしまい、足首を硬くする要因になってしまいます。
靴の影響で足を蹴り出せない
ハイヒールを履いている場合と、普通の運動靴などを履いている時とで比べるとよくわかると思うのですが、ハイヒールを履いているときは、どうしてもかかとが不安定になってしまいます。
かかとが不安定になっていると、歩行時に足を着地するときに、かかとに体重をうまく乗せることができず、足全体で不自然な形で着地するようになります。
また、足を蹴りだすときに、うまく足首を動かして、親指でしっかり蹴りだす動きがしにくくなります。
結果、雪道を歩いているときのような、地面に対して垂直に足をあげて、垂直に足を下ろすような不自然な歩き方になってしまい、足首がうまく動かないので、足首が硬くなってしまいます。
ハイヒールに慣れている人はそうでもないようですが、普段ハイヒールに慣れていない人は要注意です。
あと、サンダルなどの場合も同じように歩き方が不自然になります。
サンダルが脱げないように気をつけながら歩きますので、どうしても足の蹴りだしが弱くなります。
結果、足を上げてしっかり蹴りだす動きがなくなり、すり足のような歩き方になってしまいます。
この歩き方も、足首がしっかり動かないため、硬くなってしまいます。
骨盤のゆがみによる歩行への影響
人間が歩くときは、足だけを動かして歩いているわけではありません。
実は、骨盤の動きもかなり重要です。
骨盤に手をあてながら歩いてみると、骨盤が前後左右に動いているのがよくわかります。
この骨盤がゆがんでいる場合も、歩き方に影響を及ぼします。
特に多いのが、骨盤が下がっている場合。
腰が丸くなって骨盤が後傾してしまっている状態です。
これは実際にやってみるとよくわかります。
まず普通の状態で、足を後ろに蹴り上げてみてください。
次に、腰を丸めた状態で、足を後ろに蹴り上げてみてください。
どうでしょうか。
腰が丸くなって、骨盤が下がっている状態だと、足を後ろに蹴りだすのがむずかしくなったと思います。
猫背になって、腰を丸めて歩いていると、足を後ろに蹴りだす動きが小さくなってしまいます。
結果、足首の動きが弱くなり、硬くなってしまいます。
同じようなパターンとして、骨盤がゆがみ、お腹を前に突き出す姿勢になっている場合もあります。
これは女性に多いのですが、お腹を前に出しながら、上半身は後ろへ傾いています。
そのため、バランスが後ろ重心となり、さきほどの骨盤が下がっている場合と同様、足を後ろに蹴りだす動作がむずかしくなり、スリッパを履いているときのようなすり足になってしまい、結果足首が硬くなってしまいます。
足首の矯正の重要性
整体ではよく、骨盤や背骨ばかりが注目されがちですが、いくら骨盤や背骨などを矯正してまっすぐにしても、体の土台である足首がゆがんでいると、またすぐに体全体がゆがんできてしまいます。
ですから、一見関係ないと思われるようなときでも、足首のゆがみはしっかり見て、矯正しておく必要があります。
足が体に与える影響
今まで、足首の硬さについてお話ししてきましたが、ここで、足についてもお話ししておきます。
みなさん、足には何個の骨があるかご存知ですか?
(ちなみに、「足」は足首から下の部分です。「脚」はふとももから下全部です。)
足には26個の骨があります。
両足で合わせると、52個ですね。
体全体の骨の数がおよそ200個ですから、いかに足の骨の数が多いかがわかってもらえると思います。
足という小さな部分にそれだけ多くの骨があるのですから、1つ1つはかなり細かいです。
ではなぜ足にはこれだけたくさんの骨があるのでしょうか。
人間は立ったり歩いたりすることにより、かなりの衝撃が体に伝わります。
その衝撃を足が吸収してくれているのです。
ですから、もし、足(足首)が硬くなっていたら、地面から来る衝撃がもろに腰や首など体全体に伝わってしまうわけです。
そうなると膝痛や腰痛などを引き起こしやすくなってしまいます。
あと、足は微妙な角度にも曲がります。
足がいろんな方向に動くおかげで、地面の起伏や坂にも対応できるようになっています。
これも、足が硬ければ、地面の曲がりに対応できずに、体全体のバランスがおかしくなってしまいます。
このように、足首同様、足についても、やわらかさが大事なのです。
足首の硬さについてまとめ
今まで足首(足)の硬さについてお話ししてきました。
足首の硬さが体に与える悪影響としては、大きく2つ。
全身のバランスがくずれてしまうことと、足首が動かないことでふくらはぎのポンプ作用が弱くなり、血流が悪くなってしまうことです。
足首が硬くなってしまう原因としては、まず歩くことが少ないこと。
そして、歩き方や靴の問題、骨盤のゆがみも大きく影響しています。
足首は体の土台ですから、ちょっとした不具合でも全身に影響が出てしまいます。
なるべくよく歩くようにして、足首をやわらかくすることを意識してみるといいと思います。
さて、これまで、足首の硬さについてお話ししてきました。
ここからは、足首の痛みについて、お話ししていきます。
足首の痛みの原因
ここからは、足首の痛みについてお話しします。
足首の痛みというと、一番に思いつくのは捻挫ですが、今回お話しするのはそういった急性の痛みではなく、特に何かをした覚えがないのに、足首が痛い場合についてです。
よくあるのは、階段の上り下りやよく歩いたときなどに痛みを感じる、という人が多いようです。
痛む部分としては、足首の前側や外側が痛くなる場合が多いです。
ここでは、特に足首の前側や外側が痛くなる場合についてお話ししていきます。
足首が痛くなる原因
足首が痛くなるパターンとして、足首の前側が痛くなる場合と足首の外側が痛くなる場合が多いです。
この前側と外側が痛くなる場合の原因について、それぞれお話しします。
ただし、ここでお話しするのは、よくあるパターンについてです。
これがすべてではありませんので、ご了承ください。
足首の前側の痛みの原因 前脛骨筋の硬縮
足首の前側が痛くなる原因としては、すねの外側にある前脛骨筋の影響が大きいです。
前脛骨筋は、すねの外側から足首の前側を通ってつちふまずまで続いています。
ですからこの前脛骨筋が硬くなっていると、足首の前側に痛みや違和感を感じやすくなってしまいます。
その他にも足の指に関する筋肉も足首の前側と通っていますので、このあたりも関係してきます。
前脛骨筋が硬くなる原因としては、まず、足関節の使い方が悪く、足首が硬くなってしまっていることがあげられます。
歩き方や靴の影響などで、前脛骨筋を含めた足首周辺の筋肉が硬くなってしまうのです。
次に、前脛骨筋が硬くなる原因として足首の内反が上げられます。
内反というのは、足の裏が内側に向いた状態のことです。
足首を捻挫するときの向きですね。
O脚ぎみの人は足首が内反していることが多いです。
そして、前脛骨筋は足首を内反させる筋肉ですので、常に足首が内反していると、前脛骨筋が常に緊張していることになり、硬くなってしまいます。
すねの外側の筋肉がカチカチに張る原因とは?前脛骨筋のこりを柔らかくする方法
足首の外側の痛みの原因 足首の内反
次に、足首の外側が痛くなる原因ですが、こちらも足首が内反していることが多いです。
ただし、足首の内反によって足首の外側に負担がかかって痛くなることと、さらには、骨のズレも起きてしまうことがあります。
くわしく説明しますね。
足首が内反になっているということは、体重が足の小指側にかかっているということです。
足の小指側に体重がかかっているということは、膝の外側に体重がかかっており、つまり、O脚の方に多い状態です。
O脚でなくても、女性の場合は、足の小指側に体重がかかっている人は多いです。
足が内反している状態で歩き続けると、足首の外側に負担がかかることになり、痛みが出やすくなってしまいます。
また、足首が内反している状態は、ふとしたことで、捻挫しやすい状態でもあります。
よく捻挫をする人は、自分がO脚になっていないか、体重が小指側にかかっていないか、チェックしてみてください。
さて、この足首の内反ですが、この状態が長く続くと、骨のズレも起きてしまうことがあります。
それは、腓骨のズレです。
腓骨と足首のゆがみの関係
膝から下には、2本の骨があります。
ひとつは、脛骨といって、これはスネの骨ですね。
いわゆる弁慶の泣き所です。
それともうひとつの骨は、その脛骨の外側、ふくらはぎのところにあります。
それが腓骨です。
この腓骨というのは、実は体を支えていません。
体を支えているのは脛骨で、腓骨はその横で体のバランスをとるために存在しています。
さて、話を足首の内反に戻しましょう。
腓骨がなぜ足首の内反に関係しているかというと、実はこの腓骨は、脚の外側に体重がかかることで、下にずれてくるのです。
腓骨の一番上は、膝の外側のわずかに下のところのグリグリしたところで、一番下は、外くるぶしです。
腓骨が下にずれることで、外くるぶしが下にずれます。
するとどうなるかというと、足首の骨を外側から押さえ付け、足首の骨を内側へとずらしてしまうのです。
ですから、足首の内反を直す場合は、足首だけを調整しようとしてもうまくいきません。
腓骨が外側からロックしていますから、まず、腓骨のズレを直し、足首の外側に余裕をもたせた上で足首を調整する必要があるのです。
というより、腓骨さえ矯正しておけば、足首の矯正はいらない場合も多いですが。
腓骨の矯正方法
腓骨の矯正の仕方をお教えします。
矯正を受ける方は、仰向けで寝るか、脚を伸ばした状態で、座ってください。
矯正する人は横に座り、腓骨の上端(膝の外側のわずかに下のグリグリ)と腓骨の下端(外くるぶし)をそれぞれ片手ずつで軽く押さえ、上方向(頭の方向)へ向かってわずかに力をいれます。
動かそうとして強い力をいれてはいけません。
上へ動かす意思で、ほんのわずかに力を入れるだけです。
この状態で1、2分じっとしていれば、腓骨が上に上がります。
矯正の前後で立っているときのバランスをチェックしてみてください。
足の小指側に体重がかかっている人は、この矯正で、足の親指側にも体重がかかるようになる場合が多いです。
足首の痛みについてまとめ
さて、ここまで、よくある足首の痛みについてお話ししてきました。
足首が痛くなる場所として多いのは、足首の前側と外側。
そしてその原因として多いのは、
- 足首が硬くなったり内反することで、前脛骨筋が硬くなっている場合
- 足首の内反によって、腓骨が下にズレてしまっている場合
がありました。
なにより足首が内反していることの影響が大きいですので、自分がそういう傾向にあると思われる方は、足元の重心を意識するようにするといいと思います。
以上、「足首の硬さと痛みの原因」でした。